
プラネタリーヘルスの考えを理解し、行動するためには、私たちがこれまでの考えのフレームを破り、発想の大転換が必要になります。
プラネタリーヘルスを捉える、新たな哲学をもとに、中心となる精神性を定義します。
#地球巨視的視座
近代、人と自然は分断し、私たちは自分のため、人類のために社会を最適化してきました。
実際には、部分は全体に影響を与え、全体は部分に影響を与えていますから、切り分けて考えることはできません。自分をつながり合う大きなネットワークの一部と捉え、その全体を自分ごととして捉えていく新たな自己観、生命観を持つことが必要です。
プラネタリーヘルスを理解するために必要な、自分とつながり合う社会、生態系、地球全体のシステムを巨視的に捉える視座を「地球巨視的視座」と呼んでいます。
私たちは、食べることを通して、物質的に生態系がつくりだす生命の網(WEB OF LIFE)とつながっています。また、現代は、情報ネットワークは世界規模につながり、自分の脳はネットワークに外部化され、更にAIの頭脳ともつながっています。
自分と自分とつながるあらゆる生物、非生物全体がつくるネットワークが、物質空間にも情報空間にも広がっています。
そして、日本では、古来からの仏教哲学では、自分と森羅万象を含む他者を別々のものではなく、「自他一如」と捉えてきました。
古来からの考え方を見直しながら、世界への解像度を高めていくことで、プラネタリーヘルスを捉えていくことができます。
#地球道徳
社会の秩序を保つには、人が道徳心を持つことが重要であると考えます。
これまで、私たちは、人のため、人のつくる社会のための道徳心をもとに社会を築き上げてきました。
しかし、つながり合う生態系や今後登場するロボットとの共生など、私たちはその道徳心を人以外にも拡大することが求められています。
人を含む地球全体に対する地球巨視的視座(=SELF AS WE)を持ち、人の社会、生態系、地球全体の秩序を成立させながら、判断し行動できる規範を「地球道徳」と定義します。
地球巨視的視座を持てば、これまでのように、自分のための利己でも、他者のための自己犠牲を払う利他でもなく、自分の利益が全体の利益であり、全体の利益が自分の利益であるという「自利利他」と捉えることができ、自分ごととして考え、行動することができます。
私たちは、東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻道徳感情数理工学社会連携講座での研究をもとに、地球道徳を科学し哲学的に考察し、技術に応用し、人や企業、お金の信用・信頼の指標とし、行動原理の根本に地球道徳を持つ人たちによる経済・社会システムの基盤をつくることを掲げています。
地球道徳の定義
社会における外在的な諸規範を人間都合によって決定するのではなく、地球全体の規範としての自然の原理原則・法則性を踏まえ、社会秩序だけでなく、生態系や地球全体の秩序を成立させながら自身の判断・評価・行為を最終的に決する内面的な規範