プラネタリーヘルスイニシアティブ設立
私たちは、人の大転換から科学、技術、経済、社会を大転換し、人を含むこの地球システム全体のウェルビーイングを実現する「プラネタリーヘルス」を達成します。
国際目標である「プラネタリーヘルス」達成のための経済、社会基盤づくりを通して、真の地方創生を実現します。
【背景】
科学技術の発展にもかかわらず、今、人が生きるだけで、人の心身も、人をとりまく経済、社会、自然環境も壊れていることが種々の統計的にも明らかです。
地質学的に人類が地球の地質(土)に深刻な影響を与える「人新世(アントロポセン)」といわれるこの時代において、人類の経済活動の増加によって、地球規模の環境課題が顕在化しています。
そうした環境の中、VUCAと言われる将来の予測困難な状態の時代において、日本ばかりでなく世界的に若者たちは、不安を抱え、希望を失っています。日本では、悪性腫瘍や認知症、また子どもの発達障害や自殺率の増加、過密な都市への一極集中と地方の衰退から経済格差、自然の劣化、里山・農村の劣化や食料自給率低下に直面しています。産業革命以降の大量生産大量消費に伴いは、世界的に土地の個性は平均化され、里山は劣化し、風土は壊れていきました。近代科学は、つながり合う世界を要素に細分化し、専門分野への特化が進む一方で、人の体と心、人と人、人と自然のつながりは希薄化し、人類は孤独の中で利己的になり、人だけに最適化した社会を築き上げてきました。効率化重視の社会の中で近代科学や技術で扱いきれなかった目には見えない豊かさやつながりは軽視され、伝統的な自然観や精神性、歴史文化に基づく営みも失われつつあるのは非常に残念です。
今、私たちには、抜本的にあり方を変え、認識を変え、世界との関わり方を変え、最新の科学技術をもって、社会のプレートを変える大転換(グレート・トランジッション)が求められています。
【プラネタリーヘルス】

人の健康やウェルビーイングを実現したいと願う時、私たちは自らが分断した世界を再び統合し、つながり合うシステムであるコミュニティ、社会、経済、そして生態系を含む地球全体のシステムを地球巨視的視座で捉え、その全体の健康とウェルビーイングを実現することが必要です。
それが、「プラネタリーヘルス(惑星の健康)」です。
2015年に国際的に提唱され、SDGsやネイチャーポジティブ経済への移行を踏まえ、人類が目指す大目標として掲げられました。
従来のような要素還元的な部分的理解に基づく表層へのアプローチでは実現不可能で、学際的、分野横断的連携による研究推進や社会実装が求められています。
【PHIの設立】

私たちは、本質的な洞察から根本にアプローチし、スピーディーに変革のアクションを起こすため、日本の地域間の連携から世界とつながるプラネタリーヘルスイニシアティブ(PHI)の発足を宣言します。
前進となる(公財)日本ヘルスケア協会・プラネタリーヘルスイニシアティブを2023年7月に発足し、人口最小県の人口最小町である鳥取県江府町との連携協定の下、江府町を拠点とし、江府町と東京・丸の内をつなぐ取り組みをスタートしました。
2025年4月1日に(一社)プラネタリーヘルスイニシアティブとして独立し、今後、この連携をますます発展させながら、自然や歴史文化を育んできた全国の様々な地域との連携を図り、都市と地方の再定義と関係性の再構築を図ります。
1)経済・社会基盤づくりによる地方創生2.0
人類が生きることで人と地球が再生し続けるプラネタリーヘルスの経済・社会基盤を築き上げ、地方創生2.0モデルとして全国、世界に発信します。
流域を1つの循環単位とし、これまで金融資本主義に基づくGDPだけでは評価できなかった、人の心の豊かさや地球に対する道徳心、地方の自然資本を活かしたネイチャーポジティブ経済への移行を踏まえ、地方の価値を再定義し、都市と地方をつなぎ、グローカルな経済モデルを構築します。
私たちはこれまで、人類にとってより良い社会をつくろうと努力してきました。しかし、これからは、人のため、人の社会のためだけではなく、人を含む地球全体を敬い慈しみ利することができる地球道徳を中心に持ち、考え、行動することが必要です。行動や事業によってプラネタリーヘルスに向かっていく、地球道徳の高い人や企業が評価される地球道徳経済圏の基盤をつくります。
2)地球道徳心をもった人材育成
あらゆる知の体系を統合したリベラルアーツを基に、想像力と創造力を発揮し、実学による身体知による動態感受性により全体を統合的に捉え、地球巨視的視座を獲得し、人を含む地球全体を敬い慈しみ利することができる地球道徳を中心に持ち、考え、行動できる越境人材を育てます。そうした人材が、科学、技術、社会を大転換し、プラネタリーヘルスを推進していきます。
3)分野横断的プラットフォーム
分野やエリアを横断したプラットフォームにより、これまでの限界を突破し、本質的で根本的な行動をスピーディーに実行する生態系を構築します。
地方拠点活動の活性化には、次の施策を実行に移します。
・実証・実装拠点となる地方と都市との連携を図り、地域との絆を深めていきます。
・生態系でつながる農食歯医の連携(Agri-Dent-Medicine)による人の健康と生態系への同時インパクトの実現と微生物循環学の確立を目指します。
・スピード感を持ったインパクトのある社会実装のため、産官学民連携、グローバルな連携を進めます。
4)科学・哲学・技術革新の推進
プラネタリーヘルスの実現には、多様化する世界の全体性を捉える統合的科学、そしてそれに意味を与える哲学的考察、それらに基づいた技術革新が欠かせません。
研究支援や企業と地方をつなぐスムーズな実証実験や社会実装をサポートし、科学・哲学・技術の変革から社会変革を実現していきます。
私たちは、日本的な自然観、精神性に誇りを持ち、それらを最新の科学技術に裏付け、歴史文化、気候風土に基づいた日本式プラネタリーヘルスがグローバルにつながっていくことを描いています。
私たちは、人が生きることを通してプラネタリーヘルスの達成を目指すことで、人類はこの世界の歓びとなり、希望となると確信しています。
ぜひ、この大変革に参加して下さい。